COLUMN

2023.10.25

熱コラム

熱盤の温度ムラを解決する方法<ヒートパイプ編>

温度ムラ改善×ヒートパイプ

最近、「温度ムラ・温度ばらつき(均熱化)を何とかしたいがどんな方法があるの?」とお問い合わせいただく事が増えてきました。そして、熱コラムに「熱盤の温度ムラを解決する方法3選!」と題した記事を掲載しました。(まだ見てない方はぜひ目を通してください!)

更なるご質問で“ヒートパイプ”は使えないの?とご質問いただくことが多いので河合電器で検証しました。

ヒートパイプとは

ヒートパイプとは、液体の潜熱作用を利用した瞬時に熱を移動させることのできる製品です。ヒートパイプの歴史は長く1960年代にはじめてアメリカで製品化され、電子機器などの半導体冷却や産業機器の均熱や熱交換に使用されています。ヒートパイプの作動液としては、水が一般的ですが、使用温度に応じてナフタレンなども使用されます。

ヒートパイプ特徴としては、
①熱伝導が高い(厳密には内部作動液の熱伝達率が高い)
②量産性があり、低コスト
③軽量
などの強みがあります。

取り扱いも良く、便利なヒートパイプですが、注意点もあります。原理として作動液の沸騰と凝縮を活用している為、効果を発揮できる温度域と効果を発揮しづらい温度域がある点です。また、金属効果を最大限発揮するためには、被加熱物とヒートパイプの接触熱抵抗を下げるために熱伝導グリスなどの塗布が必要です。

ヒートパイプで温度分布の改善効果を見る

それでは実際にヒートパイプで温度分布改善がどの程度まで達成できるか試験をします。試験条件は以下とします。

<ヒーター>
・カートリッジヒーター AC100V 400W(粗密設計無し(均等巻))

<被加熱物>
・□40mm × 200 mm、材質:SUS304 

<ヒートパイプ>
・シース材質:銅、作動液:水
・φ8×190 mm、熱伝導グリスあり

<温度制御>
・φ3.3穴にφ3.2シーズ型熱電対を50mm差し込み測温する。
・制御はON/OFF制御とする。

<温度測定>
・以下の図の様に自重式熱電対を3カ所設置して測定する。
・測定温度は飽和状態とした。

試験結果<ヒートパイプの比較>

試験結果は以下の様になりました。ヒートパイプを設けることで約64%の温度分布改善効果が確認出来ました!

(℃)
  ヒーター先端 ヒーター中央 ヒーター口元 制御センサー 最大温度
カートリッジヒーターのみ 189.7 205.6 186.2 201.8 19.4
カートリッジヒーター + ヒートパイプ 186.7 192.8 185.9 200.7 6.9

温度差6.9℃について、温度差5℃以内などのご要望が増えつつあるのも事実。更に温度分布を良くする方法として、温度分布改善を目的とした新製品”Peacott 熱流制御シート(均熱シート)”を使うとどこまで改善できるのかが気になります。

新製品Peacottで試すとどうなるかの検証!

試験条件は先の条件のままで、Peacottを新しく追加します。Peacottはボルトナットで締結して固定するだけなので設計が容易です。以下の図の様に新しくプレート(厚み3mm のSUS)を追加しました。


試験結果<Peacottの比較>

試験結果は以下の様になりました。Peacottを設けることで約79%の温度分布改善効果が確認出来ました!

(℃)
  ヒーター先端 ヒーター中央 ヒーター口元 制御センサー 最大温度
カートリッジヒーターのみ 189.7 205.6 186.2 201.8 19.4
カートリッジヒーター + ヒートパイプ 186.7 192.8 185.9 200.7 6.9
Peacott(ヒートパイプは無し) 187.8 190.6 186.5 201.0 4.1

温度差4.1℃と温度差5℃以内を達成することが出来ました!更に、Peacottは使用温度が最高で400℃まで可能である点も便利なポイントです。

※今回の検証はあくまでも本試験条件下の場合の結果であって、必ずしもこの様な結果を保証できる訳ではありません。ご参考として受け取って頂けますと幸いです。

誰もが温度ムラの課題を解消できるアクセサリー“Peacott”

Peacottは、誰もが温度ムラの課題を簡単に解消して欲しいという想いから生み出した新商品です。この商品は、面状ヒーター・棒状ヒーター問わず、ワーク(温度分布が必要な場所)とヒーターの間に挟むことで、ワーク表面温度分布を簡単に良くすることが可能です。更に温度分布だけでは無く、温度安定時間の短縮化も可能であることから、装置省エネルギー化も期待できます。

Peacottの特徴

均熱性

■最大温度差1%以下を実現(※実証実験に基づく)
高効率の熱伝導性能により、優れた均熱性を実現。ムラのない正確な温度分布の実現により、作業効率や品質向上が期待できます。

装置の稼働率の向上 & 装置消費電力の削減

■温度安定時間を64%時間短縮(※実証実験に基づく)
Peacott仕様とヒーター容量分割仕様を比較。ワーク表面の温度制御の安定性向上により、936秒のサイクルタイム短縮を実現。

Peacott使用の場合、早期温度安定およびオーバーシュートが抑制でき、装置稼働率の向上と消費電力の削減を実現します。

■約20%の消費電力を削減(※実証実験に基づく)
温度均一性の向上により、ワークの端まで有効ワーク面積が拡大。必要最低限の適切な加熱により、装置の省エネルギーやサイクルタイム短縮が期待できます。

■応用事例:Peacottの熱輸送効果
面状ヒーターではヒーティングできない形状を想定した実証試験


温度ムラ・温度ばらつき・温度安定でお困りでしたら、是非ご相談ください!

■お問い合わせ
https://www.kawaidenki.co.jp/inquiry/

■Peacott 熱流制御シート(製品案内)
https://www.kawaidenki.co.jp/product/peacott.html

また、活用事例も随時展開しておりますので、ご覧ください。

■加熱ユニットの温度分布改善のご相談(Peacottによる解決事例)
https://www.kawaidenki.co.jp/solution/case052.html

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