COLUMN

2020.09.23

Q&A

流体を加熱したい。100℃と600℃のヒーターで比較すると出口の温度差は6倍!?

流体の加熱。
熱の問題解決を生業にする弊社へのご要望、とっても多いんです。

中でも、タンクで加熱をする方式から、流路で加熱をするシンプルな方式に転換したいといったご相談をよく頂きます。

夢のタンクレス化

流路で温める意味って?

どういうことなのか?それぞれの方式の特徴をまとめてみます。

TanktoRyuro
ざっくりとではありますが、このような特徴があげられます。

要約すると、「タンクの方が効率が良く、温めやすいけど、流路で温められたら色々と部品を省けて簡便になるなあ!」ということなんですね。

水は温めにくいモノです

でも、水って結構温めにくい、というのをご存知でしょうか?

比較的、温めやすいといわれている金属と比較してみますと・・

常温時の各物性のおよその熱伝導率
熱伝導率(W/m・k)
398
アルミ 236
ステンレス 16.7
0.582

熱伝導率(W/m・k)は、厚さ1mの板の両端に1℃の温度差がある時、その板の1m^2を通して、1秒間に流れる熱量をいいます。
銅が、1秒間に398Wの熱量を流す同じ秒数の間に、水は、0.582Wしか通さないわけで、つまり、この数値が大きければ大きいほど、熱の伝わりが良い事を表します。

銅と比較して、水の熱伝導率はこんなに開きがあるんです。

なので、タンクレスを叶えるのはなかなか難しい!
まさに夢のような構造!
温めにくい水とはいえ、タンクをなくし、流路で間接的に加熱する方式になるけれども、できるだけ効率的に温めてあげたい・・!

・・・ということで、今回、流路での加熱方法を考えていくために、Q&Aとしてこんなお題をご用意いたしました。

効率的に温めたい!ヒーターの温度を高くしたら、等倍に水は温まるのではないか?

Question: 水が流れる配管にヒーターを取り付けた時、流量が等しければ、

  • A:ヒーターの温度100℃のとき
  • B:ヒーターの温度600℃のとき

温度の差が6倍なので、水温の上昇幅は6倍になるのですか?

KAWAI: 弊社の実験データを確認してみましょう。水を温める方法のヒントがそこにありますよ!

難しい流路加熱、設計者さんが悩むのもあたり前のようですね、何とか「アタリ」をつかめれば設計もスムーズに行くのでは?

さて、結果やいかに?!

実際に実験をして確かめてみました

ヒーター温度100℃の場合

早速確認していきましょう!
まず配管を100℃に保持し、水を流す実験を行っていきます。
実験には、ちょうど手元にあったシリコンチューブヒーターを使用してみます。

4

常温の室内環境で実験をするため、水の温度は約20℃です。

ヒーター温度100℃の実験結果

100do

各流量ごとに出口で測定した水温をグラフにまとめました。

60ml/minと、流量が比較的少ないケースでは、100℃のヒーターでも出口での水温70℃と、かなり熱を伝えられていることがわかります。
と、同時に、流量が多くなるほど、初期温度20℃に対し、あまりヒーターからの熱交換が確認できませんでした。

ヒーター温度を上げた場合、どのくらいの変化が期待できるでしょうか。

では、この実験データを比較対象として、600℃の実験を行います。
ですが、いずれの流量下でも、この測定温度の6倍となると、水の沸点である100℃を超えてしまいます。
なので、出口温度で100℃を測定できれば、実験は成功!と言えそうですね。

ヒーター温度600℃の場合

さて、100℃の場合シリコンチューブヒーターを使用して実験をしましたが、600℃の場合、どのように実験をしたらよいでしょうか。

シリコンチューブヒーターの耐熱温度はおよそ200℃。

600℃では耐熱温度を超えてしまい、通常では、シリコンチューブヒーターは使用できません。
今回は特殊な方法を用いて、配管に、金属製の600℃のヒーターを巻きつけてみました。

また、さすがに6倍はキツイ・・・
と予想し、600℃配管に、以下のアドバンテージを設けます。

  • シリコンチュー⇒600℃に耐えうる、金属製の配管に変更
  • チューブ径をφ6⇒φ3へ。パイプ1mm当たりの水量を減らします
  • 配管全長を1000mmL⇒1350mmLへ。配管との熱交換が行われる時間を延長します
ヒーター温度600℃の実験結果

600do先ほどの結果と比較し、かなりの差が見られました。
しかしながら、アドバンテージも設けたものの、先ほどの結果の6倍とはいきませんでした!

6倍想定である100℃に達したのは、90ml/min迄でした。

(測温結果が110℃なのは、誤差と思われます)

これは、水の熱伝導のスピードよりも流れるスピードが勝り、熱が伝わりきらなかったと考えられます。
したがって、ある程度の流量を超える場合、ヒーターの温度を上げるだけではなく、熱の伝え方にも工夫が必要になります。

まとめ

如何でしたでしょうか。

流体を加熱する構造を検討する上で、参考にして頂ければ幸いです。

このコラムを読んでみて、難しいことが分かったけど、どうやって設計したらいいかわからない・・
という方も、多くいらっしゃるかもしれませんね。

是非、まとまっていない状態で弊社にお問い合わせください。
色々な選択肢をご提示できると思います。

検討には実験だけではなく、[HSP] ヒート・シミュレーション・パッケージという、シミュレーション技術を使用して解決へ導く手段もございます。

ケースバイケースで、どんな手段が最適と思われるか、検討させて頂きますので、お気軽にお申し付けください。

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