COLUMN

2019.07.02

Q&A

〈常温〉対〈氷点下〉 ヒーターの昇温カーブは同じか?

あったかい部屋と、つめたい部屋。ヒーターは、同じものでいいのでしょうか?

世界は広いです。世界の最低気温はロシアの-89.2℃。一方の最高気温はイラクの58.8℃とも言われています。つまり、世界各国で使われる産業機械は、このように様々な環境温度下で使用されることを想定しておく必要があります。

環境温度次第でヒーターの昇温能力も、変わるのでしょうか・・・?

ヒーターの昇温も変わる?

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さてさて、ヒーターとなると、ちょっと難しく聞こえますが、こうすると一般家庭の方にも、想像がしやすいと思います。

やかんで喩えてみましょう。

一人暮らしの方から、一般家庭まで、まず必要最低限のものを揃えよう、という時にはほぼ候補に挙がるであろうやかん。このやかんで想像をしてみましょう。

「暑い夏、部屋でやかんを沸かすのと、寒い冬、部屋でやかんを沸かすのでは、時間に差があるのだろうか?」

やかんでお湯を温める時、ガスコンロであればガス、IHコンロや電気ヒーターを用いたコンロであれば電気エネルギーです。

その他にも水道の蛇口。蛇口を伝い水道管を伝っていくと、その先は給湯器につながります。この給湯器にも、ヒーターが使われているのです!

そう言われてみれば、寒い冬は給湯器の電源をつけ、蛇口をひねってお湯が出てくるまで、冬に比べて時間がかかる感じがしませんか。その考え方をすれば、寒い場所では、ヒーターの昇温能力は、やっぱり遅くなるのではないか?という想定が成り立ちます。・・・と思いつつも、ストップウォッチ片手に図ったことなどありませんよね・・。

熱のプロフェッショナルに聞いてみましょう

教えて河合電器!
はい、お答えいたしましょう!

Question: 全く同じヒーターを二つ用意し、常温の空間と、0℃以下の空間に入れます。まったく異なる昇温カーブを描くのでしょうか?スタート時の温度差を保ったままカーブが推移していくのしょうか?
KAWAI: 考えるより見てみましょう!実際に実際に試験したデータをご覧ください!!

どうやって確かめよう?

シリコンラバーヒーターで実験してみました

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まず、発熱体には電気ヒーターの代表格でもあるシリコンラバーヒーターを用意しました。単体で使われることは稀ですので、薄手のアルミ板を専用のボンドで貼り付け、模擬的に実使用環境に近づけます。

15℃と-25℃の部屋で実験をします

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今回は同じシリコンラバーヒーターの試験体を、常温下、氷点下、各温度環境に入れ、通電試験を行いました。温度域はそれぞれ①常温(15℃)、②氷点下(-25℃)としました。

気になる実験データをどうぞ!

実験結果

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①15℃ ②-25℃ 試験結果差
開始時 15℃ -25℃ 40℃
5分後 37℃ -3℃ 40℃
10分後 49℃ 1℃ 48℃

ご覧の通り、昇温のカーブは全く同じ温度差を保ちながら推移していく、というわけではなく、徐々にその温度差が開いていく結果となりました。若干ではありますが、-25℃環境での方が、昇温の速度が遅い傾向にあるようです。

これはなぜ?

このような現象が起こるのは、各環境で放熱量も変化するからです。全く同じヒーターのため、発熱量は同じ。ではなぜ、差が出てしまったかというと、これは、放熱量の差によるものなのです。

放熱量とは、その名のとおり、奪われていく熱の量のことですが、これは、環境温度やその物体の温度により異なり、一定ではありません。傾向としては、温度が高温になればなるほど多く、また、低くなればなるほど多いです。また、周囲温度と物体の温度の差が大きいほど放熱量は多くなります。

このように、一言でヒーターといっても、使用環境によって与えられる熱効果は様々なのですね。

(株)河合電器製作所は一品一様のものづくりを推奨します。それは、この実験結果のように、環境次第で最適な熱の形は異なるためです。ご使用環境、必要な温度、何をしたいか、具体的にお知らせください。こちらでトータルなご提案をさせていただき、必要な熱を形にさせて頂きます。

100℃の環境温度下でも同様に試してみました。

このほかにも、100℃の環境温度下でも試験をしてみましたので、その結果をどうぞ。

15℃、25℃、100℃環境での昇温カーブの差

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①15℃ ②-25℃ ③100℃
開始時と10分後の温度差 34℃ 26℃ 26℃

この中では、15℃環境下で昇温させたヒーターが、他2つの環境下で昇温させたヒーターに比べ、最も昇温する結果となりました。

15℃、25℃、100℃環境下でより昇温能力の高いヒーターの差

こちらはもう少し昇温能力の高いヒーターで、同じく15℃、25℃、100℃環境下でヒーターを昇温させてみました。

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①15℃ ②-25℃ ③100℃
開始時と5分後の温度差 123℃ 103℃ 75℃

こちらの試験でも、15℃環境下で昇温させたヒーターが他2つの環境下で昇温させたヒーターに比べ、最も昇温するという結果となりました。
どちらも15℃環境が最も昇温したので、ヒーターは常温程度の環境下で最も昇温がしやすいと考えられます。ヒーターを検討する際に、環境温度が-15℃であったり、100℃であったりと、常温環境温度と異なる場合には、ヒーターの昇温能力を調整して考えてある必要があることがわかりますね。

熱の世界は奥が深い!!

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